たわわに実ったバナナ。沖縄の集落を歩いていると、普通に見かける光景です。これが島バナナです。
普段食べている外国産のバナナと違い、実が小さく、食感はねっとりとして、微かな酸味と濃厚な甘さがウリ。
ところが、この島バナナは、高級品。旬の時期でも、金さえ出せば買えるとは限らないのです。
島バナナは、沖縄県や奄美地方、小笠原地方などで栽培されるバナナです。マレー半島が原産で、19世紀前半に小笠原諸島に持ち込まれたものが、各地に広がったとされています。
バナナは、高さ数㍍に成長するので、立派な木のようですが、草なんです。だから、バナナの木ではなくバナナの草? 栽培には、マンゴーのようにハウスで育てる必要もなく、それほど手がかからないそうなのですが・・・
何故、高級品かといえば、島バナナは、台風に弱いからなのです。しかも、苗を植えてから収穫するまでに4年といわれています。
植えてから収穫できるまでに台風にやられてしまうリスクがあるため、農家としては、手を出しにくい作物なのです。
夏の一時期、那覇空港の売店には、マンゴーやパイナップルがどどーんと並びますが、7月~9月が旬の島バナナは、この時期でもなかなか見かけません。
公設市場ですらも、必ずあるとは限らないそうです。
通販サイトで探してみても、とてもバナナとは思えないようなお値段だし、それでも、品切れだの入荷待ちだの、結構待たされることも多いとか。
ところで、バナナは、植物学的にはバショウという種です。沖縄でバショウといえば、芭蕉布を思い浮かべると思いますが、芭蕉布は、バショウの葉で織った織物です。
バショウの中には、実が食用には適さないものと、食用に適した美味しい実が成るものがありますが、後者は、実バショウと呼ばれます。これがバナナです。
今は昔の首里天加那志 唐ヲつむぎ機を織り 納捧げた芭蕉布浅地紺地の我した島沖縄
有名な「芭蕉布」の一節です。聞いたことある、三線弾いて唄った、とういう人も多いでしょう。
バショウは、影だけ見ても分かる、独特の形の葉っぱをしています。
島バナナは、本格的な栽培は難しくても、庭先に植えたり、無事収穫できればそこそこの小遣い稼ぎになるということで、ダメ元でちょっとした空き地に植えられているケースが多いようです。
なので、島人の間では、案外出回っていて、高級品とか貴重品という扱いは受けません。民宿に泊まっていたりすると、思いがけずお裾分けがあったりすることも。
無理に買おうとするとべらぼうな値段なのに、島に滞在していれば、お相伴に預かれるかも、なんてなかなか粋じゃないですか。
竹富島の無人売店にて。一房400円。地元ならではの掘り出し物。こういうのを見つけると嬉しいですよね。
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