アバ石のあるところを掘れば甘水が出る
NHKの番組、ブラタモリを見て初めて知った。
竹富島には、石垣島からの日帰りを含めれば、もう何十回と行っているはずですが、恥ずかしながら、この重要なキーワードを知りませんでした。
そんなわけで、今更ですが、このキーワードを頼りに竹富島の井戸を巡り、そしてアバ石と呼ばれる岩が何故そんなに重要なのか、ブラブラ歩いて、ではなく、ブラブラ書いて解き明かします。笑
アバ石とは、島に伝わる言葉で、チャート(角岩)のことです。この白っぽい岩がアバ石です。
チャートは、プランクトンの殻や骨などが海底に堆積して出来た非常に堅い岩石で、釘を打とうとしても傷すらつかないほどです。
沖縄でよく見られる、多孔質で柔らかい琉球石灰岩とは対照的です。
その堅いアバ石の上に降った雨は、アバ石には染みこまず周辺に流れる訳ですが、アバ石の周りが、多孔質で浸透性の高い琉球石灰岩であれば、そこには水が貯まるから、掘ってみれば水が出る、ということなのだそうです。
仲筋井戸(ナージカー)。島最大の井戸です。
こちらは、神が見つけた井戸とされるミーナ井戸(ミーナカー)です。
竹富島は、外周約9㎞の小さな島ですが、その小さな島の中でも、人が住んでいる集落は中央部の一画だけです。
まさに井戸のあるところを中心に集落ができたということです。
竹富島には、アガリ・パイザーシ御嶽(オン)という聖なる場所があります。島を創った神様が最初に降り立った場所とされます。
そこに祭られているのは、アバ石です。
ブラタモリによれば、
「昔神様は、広い海の中にあったアガリ・パイザーシという小さな岩に降りられた。その岩を中心として、付近の石や砂利を盛り上げて出来たのが竹富島である。」のだそうです。
竹富島は隆起珊瑚礁の島です。
もともと珊瑚礁だったところが、隆起して陸地になったもので、沖縄にはこういう島が沢山あります。宮古島や、お隣の黒島も隆起珊瑚礁の島です。
珊瑚は、共生する褐虫藻(かっちゅうそう)が光合成できなければ生きていけません。なので、南国の海ならどこでも生息できる訳ではなく、太陽の光が十分に届く浅瀬に限られます。
竹富島は、まず、海底に長い年月を掛けて出来たチャートが浅瀬を形成し、その浅瀬に珊瑚礁が発達していったものが、地殻変動で隆起しそのまま島になったと考えられます。
つまり、竹富島の核となったのが、チャート、つまりアバ石だったのではないでしょうか。
そう考えると、この神話はもの凄く理に適っています。でも、昔の人は、何でそんなことが分かったのでしょうか。
隆起珊瑚の島である竹富島は、農業に適した土地が少なく、遠く西表島まで船で渡って稲作を行ってきました。にも拘わらず、この島には、八重山諸島を統括した蔵元(行政府)がありました。
何故でしょうか。もしかして、竹富島には水があったからでは。
石垣島にほど近く、水があって生活可能な竹富島に敢えて蔵元を置いたのでは・・・というのは、当ブログの憶測です。
アバ石のあるところを掘れば甘水(あまみず)が出る。
今まで、見ても見過ごしていたアバ石。そんな深い意味があったとは。
ブラタモリのおかげで、思いがけず、竹富島再発見となりました。
現在は、石垣島から送水管で給水されています。でも、給水が始まったのは比較的最近の1976年のこと。
その前年には、既に新幹線が博多まで開業していたという時代です。
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