美しいビーチですが、これは、埋め立て地に砂を入れて造った人口ビーチです。そして、背後に建つ黒っぽい建物は、建築中の巨大ホテルです。
ヒルトン沖縄宮古島リゾート。いよいよ来年春の開業予定です。
アメリカのHilton Hotels & Resortsが展開するホテルで、宮古島初上陸となります。
地上8階、床面積:27,983㎡、総客室数329室の巨大ホテルで、宮古バブルの中の頂点ともいえるホテルでしょう。
ホテルが出来るのは、宮古島の西側、伊良部大橋の付け根の北側辺り。トゥリバー地区という埋立地です。
これは、本家バブルの時代、旧平良市が計画・着工したもので、総面積32ヘクタール(東京ドーム7個分くらい?)という壮大な計画でした。
公園、ホテル、マリーナなどを整備する計画の下、全体の40%ほどの土地を、ホテル用地などとして41億円で民間企業に売却し、事業費の一部に当てる予定でした。
売れずに値引きするという話があったのが2006年。その当時で累積赤字は数十億とも報じられていました。
トゥリバーは、長らく活用されることなく、一部が辛うじてが公園と人工ビーチとして整備されたものの、利用者は、ほぼ島の人だけという状況が続いてきました。
その後、苦節何十年?
伊良部大橋の完成と下地島空港の利活用でバブルを迎えた宮古島にあって、ついにヒルトンのトゥリバー進出が決まり、これに併せて、マリーナを整備し、プレジャーボートを受け入れる計画です。
これは、沖縄県が平成29年(2017年)に策定した、宮古都市計画「区域の整備、開発及び保全方針」 の中に「世界へ開くリゾート都市 宮古島コースタルリゾートヒララ(仮称)」として位置付けられています。
「宮古島コースタルリゾートヒララ」で吹き出しそうになった人もいると思いますが、それは取り敢えず措いてください。笑
(宮古都市計画(平成29年 沖縄県)より)
読みにくいと思うので再掲すると、
「③ 世界へ開くリゾート都市
広域交通機能の向上が図られた平良港は、アジアからの国際クルーズ船就航など、国際交流拠点とし
て重要な役割を果たしており、とりわけ観光振興地域に指定されているトゥリバー地域は、市街地との
回遊性・連続性が向上した身近な海浜リゾート地として整備が進んでいます。 」
ということだそうです。
「交流拠点」「回遊性」「連続性」は、この手の計画で役所が好んで使う表現ですが、通訳すると、「集客できる」「行ったり来たりする」「近い」といった意味です。
トゥリバーは、中心市街地に近いから、泊まり客がホテルから市街地の飲食店まで来てくれることが期待できるという意味でしょう。
トゥリバーが、下里や西里に近いとは思えませんが、遠くはない、タクシーを使えばすぐだ、という理屈でしょうね。
近年、沖縄各地で新たにホテル事業に参入してきた業者の中には、不動産会社とか住宅会社とか、畑違いの業種も少なくありませんでした。
その点今回は、世界で600軒近くのホテルを経営するヒルトンが、満を持して乗り出してきたのは、採算性の見通しが十分あったからでしょう。
それでも、ホテル開業ラッシュの中、JTAの飛行機3機分を軽く超える、600人以上を収容する巨大ホテルの開業はかなり衝撃的ですし、風通しのよさそうなトゥリバーで、台風対策は大丈夫なのかと、余計な心配もしたくなります。
この巨大ホテルがフル稼働するとなると、タクシーもレンタカーも飲食店も足りません。しばらくは、宮古島に行っても色々大変かも知れません。
それで、タクシーが増え、レンタカーが増車され、飲食店が増えた頃、想定外のことが起きてあたふたする・・・って、つい最近何処かで見たような。
トゥリバーが、何十年かの時を経て、当時関係者が思い描いた姿に近づいています。
改めて、この計画のために巨額の税金が投じられていること、そしてその大部分は国費、つまり宮古島市民だけでなく、国民の税金であることを踏まえ、納税者として、計画が一部の人達のためのものではなく、宮古島の人全体の福利(幸福と利益)に貢献したのか、監視する必要があると思います。
今は、嵐の前の静けさかも知れません。
人工でも、意外と素敵なトゥリバーの海や公園ですが、その姿を今年のうちに紹介しておこうと思います。
去年の10月、トゥリバーの遊歩道の真ん中の木陰で涼んでいたにゃんこ。こんな光景に来年以降も出会えるでしょうか。
※ 宮古都市計画(沖縄県)はこちら。
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