西表島の月ヶ浜。月ヶ浜というのは内地から人が後から付けた名前だそうで、地元では「トゥドゥマリ浜」といいます。
島の西部(北側)にある広いビーチですが、ここの特徴は、なんといっても砂が細かいこと。
沖縄の海岸のほとんどは、珊瑚のかけらで出来た白い砂に覆われていますが、ここは西表島の大河、浦内川から運ばれた砂が堆積しています。その砂が、もの凄く細かい。素足で歩くととても気持ちがよいのです。
月ヶ浜=トゥドゥマリ浜は聖地。若夏(5~6月)頃には、神が集い遊ぶ神楽処であり、月夜に若者(=男女)がこの浜で遊んだり、秘かに連れ立って散歩することが禁じられていたそうです。
「トゥドゥマリ」の地名は諸説ありますが、「とどまる」が由来であるとする説が有力です。
西表島の神様によって大和から宇那利崎(浜の北側)へ招聘された女の神様が、同性の女を嫌うため、女が寄ってくると天気が悪くなり船を出せないので、女達はこの浜に「とどまる」ところから名付けられたという伝説です。
ピンとこないかも知れませんが、今でこそ西表島は立派な道路があり、路線バスも走っていますが、ちょっと前までは、集落から集落への人や物の移動はすべて船で行われていました。
神様が最初に降りてきたのは、沖合に浮かぶこの小さな島だとか。
そして、この浜のもう一つの特徴は、西側に面しているので、夕日の名所だと言うこと。島の西半分は未開拓で道路がないため、この島で夕日が見られる海岸は、ここを除いてほとんどありません。
こちらは、ビーチの南の端。浦内川河口付近。海の色が違います。
浦内川から、大量の砂や淡水が運ばれてくるため、珊瑚は全く育ちません。そのため、これだけ広いビーチでありながら、夕日を見に来る以外、人は余りやって来ません。
何とも贅沢な。
最後に、最近の月ヶ浜の話題として避けて通れないリゾートホテルの話をしておきます。
ちょうど10年前に、西表島としては初めての、客室数140室の大型リゾートホテルが、月ヶ浜の目の前に建設されました。
島の内外の500人を超える原告団が、工事差し止め等を求め提訴しましたが、現行制度上、この場所での開発を阻止する法的根拠はなく、敗訴しました。
リゾートホテルが出来たことによって、民宿やペンションに泊まるのはちょっと・・・という観光客層にとって、西表島の敷居が低くなったことは間違いありません。
また、このホテルが島の経済に大きく貢献していることも事実です。
開発と自然保護の調整は、解決困難な永遠のテーマですが、例えば西表島の外周道路はこの島の自然にもの凄く大きな負荷をかけて建設されたのは間違いないことで、道路はいいが、ホテルはダメだというのであれば、説得力はないでしょう。
一方、当初の強引とも思える建設計画や、このホテル建設が、総客室数1200室という、沖縄本島にもない巨大リゾートホテル構想の第一期工事であったことに対する不安と不満があったこともまた事実です。
2012年に竹富島にオープンしたリゾートホテルも、当初は反対の声が大きかったのですが、ホテル側が地元と十分に協議し、様々ないきさつもあって、既に地元に受け入れられる存在となっています。
そして、皮肉なことに、西表島のリゾートホテルも、2011年から竹富島リゾートと同じ業者に運営が委託されています。
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