石垣島の「銀座4丁目交差点」こと、「730(ナナサンマル)交差点」から、徒歩1分という一等地にある、「ペンションぱいらんど」。
自分が、初めてぱいらんどに泊まったのは、平成13年10月。以来、毎年ここに泊まって、何と今年で15年連続なのです。
ぱいらんどは、自分にとって、単に石垣島の定宿というだけではなく、間もなく100回目となる沖縄離島旅の、原点みたいな場所でもあるのです。
沖縄の、特に八重山の小さな宿には「ゆんたく」があります。
ゆんたくとは、沖縄方言で、おしゃべり、井戸端会議という意味ですが、宿でゆんたくと言えば夕食時の飲み会のこと。
宿によって、ゆんたくのスタイルは様々ですが、ぱいらんどのゆんたくは、毎回ディープ。常連客も初めてお客さんも関係なく、宿のおじい・おばあ、今は女将ともいうべき娘、時に孫達も加わって、飲んで食べてしゃべって歌って・・・
なので、この宿は、1泊2食付き、ではなく1泊朝食宴会付きなのです。
こんな感じで、ぱいらんどでは、初対面のお客さんともすぐに仲良くなります。
以前は、ぱいらんどで知り合った常連さん同士が、東京で、京都で、福岡でと集まり、おじいとおばあも、石垣島から参戦するという凄い企画もありました。
その中で最大のイベントは、もう十年以上前ですが、ぱいらんど鳩間島合宿。
北海道を含む全国各地の常連客と、島の人も交えて総勢約60人で鳩間島に渡りました。
当時、鳩間島の航路には、1日1便の貨客船しかなかったので、幹事が船会社と交渉し、高速船に立ち寄ってもらいました。
宿も、数が少なく、公民館を借りての雑魚寝。女性のみ、希望者は相部屋で民宿に泊まれたのですが、旅行というよりほとんどキャンプ。
昼は、泳いだりして自由に遊び、夜は、大バーベキュー大会~三線ライブ~星空飲み会などなど延々と続き、まさに大人の林間学校みたいで、本当に楽しかった。
その時の写真が残っていました。
さすがに、最近は、みな年齢と共にパワーダウンしたのか、こんな大イベントはなくなりましたが、一部の人達は、毎年一緒に八重山旅行に行っているみたいです。
ぱいらんどで、食べて飲んでいい感じになっていると、時に、おじい・おばあの孫の中学生・高校生の女の子がやって来て、三線弾いて、軽く2~3曲歌ってくれた、なんてこともありました。
それがもう、ハンパなく上手いのです。突然食堂がライブハウスになったみたいで、ほろ酔い加減のお客さん達は、もう、テンションMAX。
そのとき歌ってくれた、孫第1号は、Canae(華菜枝)として、なんとプロ歌手の道を歩んでいます。
一方、こちらは孫最終号のせりなちゃん。三線を手にするのは何年後でしょうか。
一年ほど前にも、当ブログで、ぱいらんどのことを書きました。「ディープでハートフルな宿」と紹介したのですが、本当は、とてもそんな単純なフレーズでは表現しきれないのです。
ゆっくりくつろげて、気楽で、建物は古いけど、食堂もロビーもゴチャゴチャしているけど、うるさいときも面倒臭いときもあるけど、居心地が良くて、いい加減で、大らかで、時に心配になり、でも最後は何とかなるという安心感もあって、結局毎回食べ過ぎ・飲み過ぎ・しゃべり過ぎな宿、それがぱいらんどです。
そして、一番凄いのは、それが15年間変わっていないことなんです。
朝食です。
朝からステーキが出てくるスタイルも、15年間変わりません。朝いっぱい食べて、元気に仕事に遊びに出掛けてほしいという話を、昔おばあから聞いたような気がします。
なにしろ15年ですから、色々なことがありました。そんな中で、今自分が心掛けていることは、常連面をしないこと。知ったかぶりして、場を仕切ったり、昔話をされても、新しいお客さんには迷惑ですよね。
でもねぇ~ 分かっちゃいても、ついつい、言いたくなっちゃうんですよ。昔はあ~だった、こ~だたった、おじいはどうだ、おばあはこうだ、ってね。
気付かぬうちにご迷惑をおかけした方が居たら、ごめんなさい。
暑い沖縄の夏。一日遊んで、部屋でシャワーを浴びてさっぱりしたら、まだ夕食には少し早いけれど食堂に降りていって、冷蔵庫から冷えたオリオンビールを出し、間もなく始まるゆんたくに思いを馳せつつ、プシュッ。
この瞬間が、15年続けても飽きない至福のときなのです。
※
まさに、この記事を書いている最中、石垣島気象台の観測史上最強といわれる台風15号が、八重山を直撃しました。
被害に遭われた方には、心よりお見舞い申し上げます。
ぱいらんども、客室のガラスが割れたり、エアコンの室外機が宙づりになるなどの、物的被害が出たようですが、お客さんも宿の人も無事だったようで、ほっとしています。
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