2016年5月27日金曜日

もしも沖縄で台風に遭遇したら 


 一部情報が古くなったので書き換えました。
  改訂版は、こちらをご覧ください。 



 沖縄旅行中、あるいは、出発直前に台風が接近したという想定で、航空機・船・宿探しに関して、必要と思われる事項をまとめました。
 ハンドブック的な使い方をしていただけるよう、工夫したつもりです。



航空機について

  主に大手のJALグループ、ANAグループに関しての話です。スカイマークやLCC利用の人は、参考として読んでください。

航空機の欠航を予測する

チェックポイントは、次の点です。

① 航空機は、空港が、風速25メートル以上の暴風圏に入ったら、飛ぶことはまずありません。RACのプロペラ機は、さらに早く欠航が決まります。ただし、実際の暴風域は、台風情報のような完全な円ではありません。空港、航空会社共、独自のデータを解析しています。

② 台風は、反時計回りに渦を巻くので、中心の北西側より、南東側の方が風雨が強くなる傾向があります。

③ 運航に関しては、台風が近づいている時は慎重な、遠ざかっている時は大胆な判断が下されるようです。

④ 意外ですが、航空会社ごとに判断が異なります。大まかな傾向としては、欠航を決めるのも運航再開を決めるのも、JALの方がANAより早いみたいです。

⑤ 台風の影響が収まっても、機材のやりくりがつかなくて欠航となることもあります。また、沖縄の各空港では、運航再開直後は、搭乗手続きが混乱し、大幅に遅延することもあります。


欠航の注意報レベル

 航空会社のホームページで「運航状況」・「発着案内」と進み、該当路線、例えば「石垣→沖縄那覇」を開くと、「台風の影響を受ける恐れのある便」に指定された旨、注記がされていることがあります。
 この場合、該当便は、手数料無しでキャンセル・便の変更が可能になります。航空会社が「ちょっとヤバイぞ」と考え始めた段階です。
(変更手続きについては、後述。)

 また、予約画面で、全便で空席が一席もない場合も要注意です。繁忙期で、元々すべて満席の場合もありますが、普通運賃で空席が一席もないことは少ないので、航空会社が、台風による混乱を避けるため、新規の予約は受け付けない(既に航空券を持っている人を優先して乗せるため)という判断を下した可能性があります。
 怪しいと感じたら、上記の「運航状況」を確認してください。
 午前中の便は、かなり空席があるのに、ある時間帯から全部満席という場合も同じです。


欠航の警報レベル

 台風接近が確実な場合、臨時便が出ることがあります。わざわざ臨時便を飛ばすということは、航空会社が「台風により欠航がでるだろう」と読んだということです。
 ただ、臨時便は機材繰りの都合もあるので、臨時便が出ないから大丈夫、というわけではありません。むしろ、臨時便はとどめの一撃に近いかも知れないので、もし出たら、これに振り替えて帰ることを、有力な選択肢の一つとすることをお勧めします。
 なお、臨時便は、欠航後運航再開時にも飛ぶことがあります。

 臨時便は、急遽決定され発表されます。各航空会社のホームページを、小まめにチェックしてください。



予約便の変更手続

 「台風の影響を受ける恐れのある便」に指定された場合、webでの変更が可能になります。
 先得・旅割など、本来変更が出来ない航空券でも、台風時の特例として変更が認められます。

 webでの変更ができないのは、
・ 元々web上で取り扱えない種類の航空券
・ 空席がない場合(web上での空席がない場合で、実際の空席の有無とは違うことがあります。)
・ 臨時便で、予約方法が指定される場合(「○○時から空港カウンターで予約を受け付けます。」などと指定されることが、たまにあります。)

 webでは思うように変更できない場合は、電話をするか、空港窓口で手続きをすることになります。

 電話・窓口では、航空券の種類によっては、JAL・ANA間の変更が効くこともあります。
 また、例えば、石垣→羽田の直行便の予約を、空席のある那覇経由に変更してくれることもあります。緊急避難措置ということで、大々的に公表されることはないので、確認してみてください。

  欠航が発表され始めた段階では、空港の窓口での手続きが確実です。混乱時は電話は繋がらないばかりか情報も遅いので、可能であれば窓口に並ぶことをお勧めします。窓口の職員の方が非常時の対応に、広い裁量が与えられているように感じます。


※  行きの便が飛ばなかったので、沖縄旅行を中止した際、、行きと帰りで航空会社が異なるときは、帰りの便を手数料無しでキャンセルするには、行きの便の欠航証明、無搭乗証明を求められる場合があります。
 行きの便をキャンセルする段階で、帰りの便が違う航空会社であることを申し出て、手順を確認しておいた方がいいでしょう。



欠航したときの空席待ち 

  台風で欠航が生じた場合ですが、以下に述べることは、航空券を個人手配した場合や、ツアーの場合でも、あらかじめ便が指定され航空券を持っているケースでの、沖縄の各空港の対応です(団体ツアー等は旅行会社の指示に従ってください。)。

 台風で航空機が欠航になった場合、JAL・ANAに関しては、予約を振り替えるのではなく、空席待ちをしてもらって、運航再開後順番に送り出す、というのが基本です。
 したがって、予約便が欠航になったら、何はさておき、真っ先に空港の窓口で空席待券を入手してください。
 先着順で台風時の「特別空席待券」が、番号1番から順次発券されます。この順番が運航再開後重要になってきます。

 その際、欠航便の航空券は、その種類にかかわらず効力が継続している扱いになります。
 先得・旅割など変更のできない航空券でも、失効しませんから、一旦払い戻しをして新たに購入する必要はありません。特典航空券も使っていない状態として扱われます。この欠航便の航空券と空席待券で、運航再開後に順番に搭乗できるシステムです。


空席待ち搭乗

  運航が再開されると、既にその便の予約を持ってチェックインした人の残りの分が空席として解放され、空席待券の番号1番の人から順次呼ばれます。
 空席待ちの人が、30人乗れたとすると、31番の空席待券を持っていた人は、次の便の空席待ちをすることになります。
 一度もらった番号は呼ばれるまで有効で、何百番であっても空席待ちの人が掃けるまで有効です。


空席待ちの時の注意点

  空席待ちは、空港で、自分の番号が呼ばれたときにその場に居ないとその番号は飛ばされます(再発行はしてくれますが、後回しになります。)。そのため、いつ呼ばれてもいいようにずっと空港で待っていれば確実です。
 ただ、混雑する空港カウンター付近に居続けることができない場合もあると思います。次の点に注意し、待ち時間を少しでも有効に使ってください。

① 現時点で何番の番号まで呼ばれたか、空港のカウンターに表示されますので、いつ頃呼ばれるかは、自分の番号と運航便を見れば大雑把には分かります。
② 電話で問い合わせにも応じてくれることもありますが、電話自体が繋がらないこともあります。
③ 呼ばれる時間は決まっていて、便出発の15分前とか30分前などと指定されます。ただし、実際には、混乱のため表示時刻より大幅に遅れて呼ばれることもあります。
④ 臨時便が飛ぶことがあり、この場合一気に順番が進みます。

  なお、空席待ちの時は、大抵空港に大勢の人が集まり大混乱になっています。列に並ばなければならないのか(発券、搭乗手続きなど)、声が聞こえる場所に居ればいいのか(空席待ちの呼び出しなど)、落ち着いて状況判断してください。

  


空席の発生

  空席待ちをしても、元々予約を持っている人が優先なので、ほんの僅かの人しか乗れないのではないかと不安になるかもしれません。
 しかし、こうしたケースの多くは、混乱を避けるため、運航再開直後の便では新規の予約を受け付けておらず、その一方、台風によるキャンセルも相当数発生しているはずなので、実際の空席はかなりあるのです。

 加えて、先ほど述べたように、臨時便を出すこともあるので、遅い番号の空席待券であったとしても、帰れるまで何日も待つということはありません。
 那覇空港では、千人以上の羽田行き空席待ちを、臨時便の運行も含め1日で捌くことはよくあります。石垣空港では那覇行きの空席待ちをしていた2千4百人以上を、運行開始後1日半で送り出したこともあるそうです。


予約を受けてくれるケース

  空港窓口で、少し後の便、例えば、翌日の最終便まで待てば、予約を取ってくれることがあります。これは、その頃には、台風の影響も収まり混乱も解消するだろうとの見込みで、予約を受け付けるのです。
 もし、その便でもよければ、予約だけし(購入はせず)、欠航便の航空券で搭乗できます。
 そこまでは待ちたくないが、さりとて、いつ乗れるのか分からないのも困るという場合は、空席待券ももらっておいて、空席待ちをし、運良く乗れたら、乗ってしまえばよいのです。

  なお、欠航便の航空券が有効なのは、原因となった台風による混乱が収束するまでなので、これ幸いとばかり、ずっと後の便を予約すると無効になります。老婆心ながら。


その他

  空席待ちは、通常は保安検査を済ませ、搭乗ロビー内で受け付けますが、台風時の沖縄の各空港では、チェックインカウンター付近に特設会場が設置されます。
 空席待ちは、空港に多くの人が押し寄せ、しかも、長期戦になる可能性があります。
 床に座り込み、食事やトイレを気にしつつ、ケータイ充電も不安、といった状況が長く続きます。
 旅慣れた人、空席待ち自体も旅の一部・ネタと考えられる人はともかく、一般の人、特に小さな子供連れの人は、そもそも空席待ちをしなくて済むように、早めに帰るか、旅行自体を中止するという決断も必要と思います。




離島船舶について

八重山の離島の場合

  台風が接近しつつあるとき、八重山の各離島に居る場合は、取り敢えず石垣島まで戻ることを強くお勧めします。泊まっている宿でも勧められると思います。
 強い台風が八重山を直撃した場合、竹富島や小浜島で2日程度、波照間島では4日程度、島に閉じ込められる可能性が高いからです。

 石垣島でも宿に閉じ込められる点では同じですが、それでも、次の点で有利です。
① 船より先に、飛行機が運航再開されることが少なくない。
② コンビニなどもあり、食料品・日用品等を確保しやすい。
③ 風が小康状態になれば、買い物や食事程度はできる。
④ 停電した場合でも、離島より早く回復することが多い。


離島航路の欠航

  八重山離島航路では、波の高さが2.5メートルを超えたころからデンジャラスゾーンに突入します。
 大概、まず、波照間航路が、次に、上原航路(鳩間島を含む)が欠航になります。西表島に関しては、大原航路が運航されている限り上原~大原間のバス輸送が行われます。

 各航路共、当日朝に、船会社のホームページで、通常運航・欠航・未定の表示がされます。
 明日が危ないかも知れない、という場合は、石垣島なら離島ターミナルの窓口で状況を聞く、離島滞在中なら宿の人に聞いてもらうなどして、情報収集に努めてください。
 
  台風が接近してきた場合に、各船会社は、何とかギリギリまで運航してくれることがあります。離島に取り残された観光客を石垣まで輸送するための特別措置ですが、荒天の中なので、いつもより揺れたり時間がかかったりします。

宮古島や本島周辺の場合

  宮古島に関しても、強風で伊良部大橋、池間大橋、来間大橋が通行止めになる場合があることに注意してください。台風の時に、車で行けるからと軽い気持ちで橋を渡って遊びに行かないよう気をつけてください。
 来間島や伊良部島など、宮古島以外の宿に泊まっている場合で、航空機の空席待ちをしたい、空席待ち券をもらいに宮古空港に行きたい場合なども要注意です。泊まっている宿の人に相談してください。
 なお、橋の通行止めは、「○時から」と事前に予告され、地元のラジオ放送などで告知されているようです。

  慶良間諸島など、本島周辺の離島も事情は同じです。慶良間に関しては、高速船・フェリーの順で欠航になりますので、高速船が止まったら、何とかフェリーに乗って戻ることを考えてください。



宿探しについて

混乱しやすい石垣島

 八重山の離島から、予定を変更して石垣島に戻る場合に問題となるのが、宿の確保です。
 石垣島では、これから台風が来そうだという場合、飛行機で石垣島に到着し各離島に宿泊を予定していた人が、急遽予定を変更して石垣島で宿を探す一方、各離島から予定を切り上げて石垣島に戻った人も宿を探すので、一時的に混乱します。片っ端から電話してもどこの宿も満室と言われて焦ることがあります。

 しかし、宿側が電話を受けた時に満室であっても、台風のためキャンセルの連絡を入れる人も少なからず居るはずなので、再度電話すると予約できることもあります。
 ただ、宿に「空きが出たら連絡してほしい」と頼んでもおそらく対応してもらえません。客が混乱しているのと同じで、宿側も混乱しているからです。

 石垣島では毎年こういう事態を経験していて、ノウハウがあります。観光協会も宿探しをフォローしてくれます。宿が見つかない観光客で騒動が起きた、などというニュースは聞いたことがないので、あわてず落ち着いて行動してください。


宿の探し方

  とっさのことで宿情報も少ないと思いますが、石垣空港・石垣島離島ターミナル・宮古空港・那覇空港1階のコンベンションビューローには、宿のパンフレットや、宿情報も載っている観光ガイド(フリーペーパー)が置いてあります。旅行ガイド本やweb検索情報も参考にして、まずは目当ての宿に直接電話をかけましょう。

 船や航空機が欠航して先に進めなくなった場合は、前日もその島に泊まっていた場合は、その宿に連絡する手があります。自分が先に進めない以上、新しい人も来られない可能性が高いからです。

  上手く予約が出来ない場合、観光協会などを通じて宿をあっせんしてもらうこともできますので、まずは地元の関係者に声をかけ、台風で急に宿を探しているがどうしたらよいか、訪ねてください。親身になって解決方法を探してくれると思います。

 なお、台風時の宿泊の問い合わせ先について、石垣島では「石垣市観光交流協会」「石垣市役所観光課」を、宮古島では「宮古空港観光案内所」を指定しています。


 石垣市観光交流協会 0980-82-2809  
 宮古空港観光案内所 0980-72-0899
 (いずれもH29.6現在)


宿探しの注意点

  宿を探す場合は、場所に注意です。心理的に追い詰められることもあり、泊まれれば何処でもいいやと思いがちですが、今居る場所からどうやって行くか(徒歩かタクシーか那覇ならモノレールか)、翌日の行動(空港に行く、港に行く)にどうやって移るか、冷静になって考えておく必要があります。

  空室が有ったら、値段を聞くのもお忘れなく。後で気まずい思いをしないために、あらかじめ確認しておく方がベターです。台風だからといって吹っ掛けられたりすることは有りません。むしろ、ホテルなどでは、台風時に、安い特別価格で部屋を提供してくれることもあります。

  宿で食事を取るかどうかも重要です。食事が付くか否か、外に食べに行けるかどうかも考え、場所によっては、事前にコンビニなどで食料を確保しておくことも必要となります。
 もっとも、相当荒れた天候でも、居酒屋が開いていて客が居るのが沖縄という所ではありますが。


総括


  確かに7月から9月の沖縄は、台風と遭遇する確率が内地と比べて高いのですが、航空機が欠航するような台風は、沖縄といえども、そんなに来るものではありません。
 基本的な心構えとしては、早めの対応と冷静な行動です。休みの関係で絶対にその日までに帰らなければならない場合は、日程を繰り上げて帰るか、そもそも行くのを止めるという思い切った決断も必要です。

 台風で航空機や船が欠航しても、焦らないことです。
 沖縄の観光業界関係者は、台風時の対応ノウハウを持っています。落ち着いて相談し、指示に従ってください。あとは、幸運を祈りましょう。


おわりに


 台風に関しては、実体験も含め、これまで様々な記事を書きましたが、今回は、現地で台風に遭遇したときに、見ていただければ役に立つ情報、としてまとめました。

 過去記事については、キーワード検索で「台風」と入力していただければ、リアル体験談など、様々な台風関係の記事が出てきますので、よかったらご覧ください。
 
  
 元になった記事は、平成21年8月、沖縄で台風につかまった自分を含む4人の経験をwebsiteに公開したものです。
 平成23年・25年夏の経験を加味したほか、その後も都度、微修正を加えたものを、さらに書き直して当ブログに持ってきました。

 航空券の扱いなどは、制度が変わることも有り得ますので、不明な点は、航空会社等に確認してください。情報をいただければ、それも反映できますので、ご協力ください。


(H29.4一部修正)
(H29.6一部修正)



0 件のコメント:

コメントを投稿