2016年9月28日水曜日

あぁ波照間紀行 怒濤の中をゆく波照間高速船 



 9月9日、石垣島。曇り。風がなく湿度が高くてメチャメチャ蒸し暑い。
 しかし、南方海上では、熱帯低気圧由来のうねりがしつこく続き、石垣港から波照間島に向かう高速船は、2日間欠航の後、やっとこの日に運航を再開したのです。



 歴史は繰り返す。
 ちょうど9年前の今頃も、今回と同じように波照間の宿を2泊予約し、初日は荒天で船が出ず、2日目に何とか船に乗れたのですが・・・


あぁ波照間紀行

 今回も予定より1日遅れて、波照間行き10:30発の船に乗るため列に並びます。
 そうでなくても揺れることで有名なこの航路。昨日まで欠航するほど海が荒れていたのだから、運航再開といっても素直に喜べません。そして、9年前の悪夢が頭をよぎる。

 船酔いに備えて準備。人事を尽くして天命を待とう。

 酔い止めの薬 ヨシッ!
 後方座席確保 ヨシッ!
 ゲロ袋の用意 ヨシッ!
 前日の飲過ぎ ナシ! いや、ちょっと飲み過ぎたかも。ヤバ。


 しかし、出航時刻になっても船が来ない。折り返す船が、波照間からまだ到着しないのです。何となく多難な前途を予感させる。10:35頃になって、波照間からの「安栄98号」が見えてきました。



 運航再開後、波照間発の最初の便なので、荷物が多い。客が降り、荷物を降ろして、船員が船内を一回りしてから、やっと、乗船が始まります。
 冷房は効かないけれど、揺れの少ない後部のデッキの席に座ります。

10:49 定刻より19分遅れで石垣港を出港。

 全行程約1時間のところ、前半30分は島に挟まれた海域を通るので、比較的穏やかに進むのですが、問題は外洋に出る後半30分。しかし、高速船は早くてナンボ。多少波があってもガンガン進むはず。 汗


あぁ波照間奇行

 出港して、しばらくはそれほど揺れません。
 船内では、イケイケ風おねーさんを連れた、偽EXILE風の若い兄ちゃんが、ビールを飲んでいる。よほど海に慣れているのか、それとも単なる阿呆か。
 釣り道具を抱えたおっさん達のグループが、楽しそうに談笑している。入れ替わり立ち替わり席を移動して何をしとるんだか。

11:28 船員が船内を見回り、立ち話をしている乗客に着席を促します。あぁ、いよいよか。
11:34 パナリの島影が視界から消えようとしている。気のせいか、揺れが大きくなった。
11:36 ドッバァーン! 轟音と共に船がジャンプ。キタァー!!
11:40 船が減速を始める。

 どうやら横波を受けているらしく、横綱の土俵入りのように、ゆっくりしたタイミングで、ドスコーイ!ドスコーイ!と左右に振られる。それだけではなく、上下にも小刻みに揺れるので、上下左右にミックスした嫌な揺れ。

 偽EXILE兄ちゃんを見ると、口を半開きにして、目を閉じている。おねーさんの方は、顔を上に向けてタオルを置いていた。釣りおじさん達も大人しくしている。
 その傍ら、地元っぽいおばちゃん達は、何事もないかのようにスヤスヤ寝てる。さすが。



あぁ波照間奇功

 一方、自分はといえば、あらら?なんか意外と平気。9年前は、ゲロ袋を握りしめ、脂汗がじとぉーだったのに。
 友達が勧めてくれた、この酔い止めの功績か。抗ヒスタミン薬ね。ふむふむ。いやいや、ありがとうございます。嬉しい。超ぉ~嬉しい。

11:55 前方に波照間島の島影が見えた。

 このタイミングで船は轟音をとどろかせて再び加速。と同時に上下の揺れが激しくなり、ドォーン・ドォーンと突き上げるような振動。
 でも、ちょっと余裕♪ スゲーなこの酔い止め。


あぁ波照間寄港

12:03 ようやく、波照間港の防波堤内に入る。

 途端に、爆走していた船が嘘みたいに大人しくなりました。

12:05 到着 所要1時間15分ほど、時刻表からは30分の遅れ。

 皆さんお疲れ様。偽EXILE兄ちゃんは、無言でフラフラと下船する。やっぱりこれは、ビール飲みながら乗れる船じゃないっすよ。次は気をつけようね。
   

あぁ波照間喜稿

 この後、宿に荷物を置いて、自転車で出発。おなかが空いたので、まずは食堂を探してお昼を食べることにしました。
 と言うかですね、到着後普通に食事が出来ちゃうなんて、自分でも予想していませんでしたよ。
 心の中で、いいね!連発。
 ハッピーな気分で、ただのカレーが2倍旨い。
 
 そう、9年前は、着いてすぐ宿で寝込んだのです。



あぁ波照間気候

 お昼を食べたのは、庭にテーブルと大きなパラソルの屋根がある場所です。冷房はないけれど、大きなパラソルは日よけには十分だし、風も抜けるので、なかなか快適。
 ところが、晴れたのはそのときだけ。だんだん雲が広がってきた。14時頃、ニシ浜に着くも、既に曇り。しかも、遠くの方には怪しい黒雲が。

 15時過ぎに雨が降り出す。この雨は、結局翌日朝まで止むことがなかったのです。(このときの状況は、前回の記事のとおり。)

 小雨になった頃を見計らって、傘を差して自転車を押して帰ります。
 雨だからって、水着のまま自転車を漕いで帰って行く女子も居ました。でも、「集落内は水着で歩かないでください」なんですけど。




 歴史は繰り返す。9年前にも同じようなことを、当時流行っていた電子掲示板に書いていたのです。
 でも、今回は自分にとって最も重要な点で違いがありました。船酔いしなかったこと。
 酔い止め薬が効いたからだと思いたいけれど、たまたま偶然かな?
 ちなみに、帰りは、うねりも治まりそれほどの揺れもありませんでした。重ね重ね、よかった。


 それにしても、日本最南端の島は遠い。他の八重山航路と比べ、運賃は高いし時間もかかる。それ以上に、欠航は断トツに多いし、よほど運がよくなければ船は激しく揺れるし。
 実際の距離よりも遙か遠くに感じる絶海の孤島です。



 確かに、ニシ浜は美しいし、のんびりした良い島ですよ。でも、西表島だって、黒島だって、竹富島だって素敵なのに、何でこうまでして、波照間島まで行きたくなるのか。

 悪い女と知りつつ、時折垣間見せる美しさに魅せられ、ついつい通ってしまうような。
 そんな貴方を、ボクは、どうしても諦めることができません。あぁ波照間貴方




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