2023年12月19日火曜日

観光という視点で振り返る宮古・八重山2023

  

 「5類移行後初めての」というフレーズが、枕詞のように語られた2023年も間もなく終わりを告げようとしています。

 コロナ開けの宮古・八重山は、観光客が激増してグチャグチャになってしまうのではないかと心配していましたが、どうも意外な展開となりました。

 
 

観光客は思ったほど増えなかった

 宮古島市の今年の入域観光客数は、4月~9月の累計で485.275人でした。

 これは、昨年同期と比べれば、131.35%と約3割の伸びですが、コロナ前の令和元年と比べると、79.1%と2割ほど減っています

 同様に石垣市は、今年が630.292人で、対昨年比は128.2%、対令和元年比では77.3%と、こちらも同じような傾向です。

 全国的にこんなものでしょうか。もっと爆増するのではないかと思っていました。
 何しろ、コロナ直前は、国内外の観光客が島に溢れ、特に宮古島はバブルと呼ばれた建設ラッシュの真っ只中だったのですから。


 中国が、政治的理由で日本への団体観光客を制限したことが、理由の一つとして挙げられています。

 しかし、今年の日本全体の月別の訪日外国人数は、対令和元年比でみると、8月で約86%、9月で約96%と徐々に上がって来ており、10月ではついに逆転し話題となりました。

 そう考えると、中国の影響だけではないようです。


対策も取られたようだが

 全国旅行支援は、大半の都道府県で5月に終了しましたが、沖縄県では7月の中旬まで続き、さらに9月から再開され11月まで続けられました。

 JALもANAも、羽田・石垣、羽田・宮古の直行便を、それぞれ毎日2~3往復飛ばしていますが、両社共、9月の便から特売を始めました。
 販売期間限定だったり、会員限定だったりしたものの、いずれも片道当たり1万5千円以下と、普通運賃の20~25%という破格値でした。

 新幹線のぞみ号で東京から新大阪まで行く場合、会費無料の「スマートEX」で、一番安い早特28で買っても12,240円なので、航空券の安さが際立ちます。


 そうした状況下であっても、客が8割しか戻らなかったわけで、逆に言えば、だからこそ県は、旅行支援を続けざるを得なかった、と言えるかも知れません。

 航空機も、破格のセールがあったにも拘わらず、自分が乗った便はガラガラでした。
 
(青色が空席です。9月のとある平日の昼頃の宮古発羽田行き)



物価高と人手不足

 これは、沖縄に限らず今年のキーワードでした。

 まず、八重山離島航路の運賃が爆上がりしましたが、これは燃料の高騰が主原因ですからやむを得ません。

 石垣島では、バジェット~エコノミークラスのホテルの値段が、夏の一時期、かなり高くなりました。
 一括予約サイトを見たら、あんなホテルでも1万円超え~みたいな。

 もちろん、光熱費や人件費の高騰というやむを得ない理由もあると思いますが、実際それ以上の値上げです。

 一方、宮古島ではそれほどでもなかったように感じました。もしかしたら、ホテル建設ラッシュで、供給過多になったおかげかも知れません。

 宮古島では、コロナ以前と比べて、ホテルの客室数はかなり増加しています。


 人手不足の方は、過去記事にも書きましたが、飲食店に顕著な影響が出ています。その意味では、観光客がコロナ以前より増えていたら大混乱になっていたので、ある意味助かったのかも知れません。




レンタカー問題

 2022年は、半導体不足に端を発したレンタカー不足のため混乱し、一部の業者は、暴利を貪ったと言われても仕方がないような商売をし、逆に良心的な店には問い合わせが殺到する事態になっていました。

 今年になって、車そのものは補充されたのですが、前年の混乱に乗じて高額な料金を請求する業者が後を絶ちませんでした。

 例えば、レンタカー4泊5日限定でン万円といった設定が横行していました。この値段自体も高い上に、短い期間で借りたくても、値段は同じとするものです。

 そういうのを、一括予約サイトでも少なからず見かけました。


 さすがにレンタカー協会も対応に乗り出したそうですが、新興の業者には指導も難しいといったぼやきが報道されていました。

 沖縄旅行のベテランは、上手く立ち回った人が多かったようですが、宮古・八重山に初めて来たような人がカモにされたかと思うと、不快です。

 沖縄フリークは黙っていてもまたやって来ます。こういうビギナーツーリストこそ大事にしないと、沖縄観光の未来は暗いですよ。





 当ブログでは、分析的記事、評論的記事を書くことも多いのですが、時々自分でも、四の五の言っていないで、もっと純粋に美しい眺めを楽しめばいいのかなぁ、と思うこともあります。

 それでもやはり、宮古・八重山は、落ち着いた品格のある観光地であって欲しいし、何よりも沖縄の離島らいしのんびりとした空間であり続けてほしい気持ちが強いのですが、皆さんはどうお感じでしょうか。


 沖縄には、美しい海という素晴らしいポテンシャルがあるのだから、旅行支援とか言って、税金をばらまいて無理に集客しなくても、地道に人手不足対策、物価高対策、レンタカー対策をしてもらった方がよかったと思いませんか。





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