りゅうぎん総研が、またぶっ放してくれました。
沖縄のホテルの客室数は、需要に対して供給過剰、つまりホテル多過ぎです。
以前ご紹介した、宮古島の水不足問題もそうですが、何となくそうだろうな、と感じていたことを数値で明らかにしてくれました。
今回は、最近発表されたりゅうぎんレポートをご紹介し、それを観光客目線で読み解いてみたいと思います。
りゅうぎん総合研究所は、琉球銀行の調査部門ですが、2024年の12月に「沖縄県内のホテル施設調査と需給バランスからみた課題と持続可能な観光へ向けた取り組み」というレポート(りゅうぎんレポート)を発表しました。
最も重要だと思われる部分をピックアップすると、
全沖縄のホテルの稼働率は、最繁忙期の8月でも62.2%に過ぎず、再閑散期の12月には47.1%まで落ち込みます(2024年の推計)。
8月でさえ、平均で3分の1強の空室があることになります。つまりこれは供給過剰、ホテルが多過ぎることを意味します。
しかも、ホテル数は2023年5月末のものをベースにしており、それ以降の開業分は含まれません。なお、民宿等の小規模施設は調査対象外です。
(りゅうぎんレポートより:以下同じ)
もう少しみていきます。
2024年の宿泊者数は、現時点での推計です。2031年の沖縄県の入域観光客数の目標はその約1.23倍の1200万人とされていますが、それで計算しても、
稼働率は、最繁忙期の8月で76.9%、再閑散期の12月は58.3%です。
ホテルの適正な稼働率を8割と仮定した場合の推計もありました。これは、8割埋まったら満室とみなそうというものですが、それであっても、
2024年が、8月で77.8%、12月は58.9%、2031年でも、8月で96.2%、12月は58.9%となっています。
何故こんな数字が出てきたのか気になったので調べたところ、ホテル業界には、8割程度の稼働が一番利益率が高いという暗黙の了解事項があるらしいのです(ただし、それは根拠がないとする説もありました。)。
ということは、この数字からは、「8割埋まればそれでいい」ということにしても、将来を含めて最繁忙期ですら目標には届かない、ということが読み取れるわけです。
ちなみに、一流と言われるホテルは、満室といっても全ての客室に人が泊まっている訳ではなく、アクシデントや急なVIPの予約に備えて、一定の空室を確保しているそうです。
加えて、ホテルの新規開業が進んでいます。リブランドも含む数字なので参考とのことですが、
2009年以前に開業したホテルが全沖縄で196件なのに対し、2010年台の開業は323件、2020年以降2023年5月まで開業は244件、と凄まじい開業ラッシュとなっています。
また、1日当たりの収容人数でみても、2017年末時点で、92,739人だったものが、2022年末には135,908人と1.47倍に膨れ上がっています。
一方、年間平均でみた1日当たりの宿泊需要は、2024年が約7万2千万人と推計され、2031年でも約8万9千人に止まるとのこと。
以上のことから、沖縄のホテルの客室数は、宿泊客数を上回って供給過剰となっており、7年後の宿泊客数が県の目標どおりに伸び、かつ、新規のホテル開業がゼロとしても、なお供給過剰は解消されないことが分かります。
このレポートは、ホテルの需給バランスの問題点や将来の課題などにも触れていますが、それは次回に紹介したいと思います。
最後に、当ブログとしてのコメントを書かせてもらいます。
こんなに次から次へと新しいホテルが出来ちゃって大丈夫なのか?と思っていた人は、多分自分だけではないと思いますが、どうやら大丈夫じゃないようです。
しかも、このレポートの対象になっているホテルは、昨年の5月時点のものであって、それ以降も新規に開業し、開業する予定のホテルが後を絶ちません。
そうなると考えられるのは、ホテル間の過当競争です。ここまでは、観光客にとって悪い話ではありません。
特別価格で泊まれたり、オトクな特別プランが用意されたり。
競争に負けたホテルは、身売りすることになります。それで再生できなければ、最後は倒産、建物は廃墟となってしまうかも知れません。
全国的にも有名な栃木県の鬼怒川温泉の話です。
東武鉄道鬼怒川線の鬼怒川温泉駅周辺には、デラックスな温泉旅館、ホテルが林立しています。
その鬼怒川温泉駅から、電車に乗って一駅先の鬼怒川公園駅に向かうと、車窓から、廃墟となった温泉旅館をいくつも見ることができます。
廃業し、心霊スポットのようになってしまった建物が、電車から見える場所に、それも複数あるのです。
沖縄が、将来こんな姿にならないようにするためには、どうすればいいのでしょうかね。
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