2023年1月25日水曜日

石垣市地域公共交通計画の興味深いデータから Ⅱ



 前回に引き続き、「石垣市地域公共交通計画」から興味深い内容をご紹介します。2回目は、島人編です。

 報告書の中から、「石垣市の公共の現状等」の一部の気になるデータをピックアップします。
 なお、石垣島の公共交通は、離島航路とバス路線がありますが、今回はバスに着目しました。





石垣市内のバス路線網の概要

 石垣空港と中心市街地を結ぶルート(空港~白保~宮良~大浜~港)は、1日100便以上(コロナ前)と利便性の高い区間となっています。
 一方、島の中央部、西北部では、1日1~10便程度の路線が多く、利便性の低い区間となっています。

 総人口に占めるバス圏域(1便でも通る)内の人口は 79.1%で、残りはバスでカバーされていない空白地域となっています。



主な路線バスの利用内訳
                住民    観光客(日本)  観光客(外国) 
4系統(市街地経由空港線) 66.4%  16.8%  16.8%
10系統(ホテル経由空港線)29.1%  59.2%  11.7%
9系統(川平リゾート線)  14.7%  64.7%  17.6%
5系統(空港経由平野線)  46.8%  17.0%  36.2%
注:5系統には・6系統(空港・平野経由伊原間線)を含む。

 なお、令和2年2月の調査で、観光客の割合が少ない時期の調査です。



 そしていきなり佳境に入っちゃうのですが、以下、想像以上に凄い結果です。

住民のバス利用頻度
 全く利用しないが59.3%、年に1回~3回が、12.6%、月1回未満~1回程度が12.6%。逆にほぼ毎日利用する人は0.5%なのです。(無回答が13.5%)

 いや~ ある程度予想はしていましたが、ここまでとは! 





 それならば、自転車はどうかというと・・・

住民の自転車利用頻度
 利用しない65.6%、ほぼ利用しないが9.5%でした。(無回答が14.7%)

 ですよね~



 そうすると、こちらの結果も目に浮かぶようですが・・・

住民の徒歩での外出頻度
 しないが25.3%、ほぼしないも24.4%。
 マジかぁぁぁぁ~!
 
 逆に毎日は4%、週5~6回が5.3%、週3~4回が6.3%、週1~2回がかろうじて16.3%となっていました。(無回答が17.7%)

 どの程度歩くと徒歩移動とするのか説明はありませんが、島人は、50メートル先まで行くのにタクシーを使うかどうか真剣に考える、というのはあながちジョークではないのかも。



 こうなると、車利用は推して知るべしですが、

住民の自動車(運転)の利用頻度
 毎日が46.3%、週5~6回が16.3%で、これだけでも既に3分の2弱となりますが、運転しない人も13.3%いました。(無回答が12.3%)


住民の自動車(同乗)の利用頻度
 利用しない、ほぼ利用しないが合わせて43%である一方、毎日利用から週1回以上利用を合わせると36.9%に上りました。(無回答が20%)

 同乗というのは、詳しい説明はありませんでしたが、施設等の送迎車(バス)とタクシー利用が主だと思われます。
 


 以上の総括となる交通分担率をみると、

住民の交通手段分担率
 自動車(運転)77%、自動車(同乗)6%、徒歩6%、バス1%などとなっていました。





ということは・・・

 もしお暇ならば、この計画本体に、ザッとでも目を通してみると面白いと思うのですが、結論はバスを中心にした公共交通を地域で支える、ということになっています。

 しかしながら、具体的な取組策としては、

・ バスの利用実態や取り組みについての周知・広報
・ 地域で主体的にバスに関われる検討組織の立ち上げ
・ バスのメリットを伝えるための情報提供
・ 利便性が低い地域の人たちが利用しやすい環境にするための検討 
・ 小・中学校の頃からバスに慣れ親しんでもらうための検討
・ 気軽に利用できるバスのサブスクリプション(定額料金支払い)の検討

といった、全然具体的でない対策しか挙がっていないのです


 ということは、つまり手詰まりだということですよね。


 まあまあバス路線網が充実している石垣島でさえこうなのだから、宮古島ではもう言わずもがなでしょう。


 島人は、バスに乗るどころか、歩くことすらもしない、超車社会の中で暮らしているのです。

 その人達に向かって、バスのメリットをどう伝えたところで、「じゃあ、乗ってやるから、バス停までのタクシー代をタダにしてくれ」、という話にしかならないように思います。

 確かに、島では、道路が渋滞するとか、駐車場がないなどといった、車の運転がストレスになるような要素が少なく、逆に、夏の暑さや急なスコールなど、徒歩移動がストレスになる要素が多いです。

 最繁忙期であっても、他県から流入する車がない、つまり車の台数が増えないという、島特有の事情もあります。

 石垣島は空港が遠いので、港・空港間の需要で、かろうじてバス路線が維持されているといったところでしょうか。



 

車を運転しない観光客対策としては

 そもそもは、Z世代観光客が車を運転しない問題から、島の公共交通の現状を調べてみたものです。
 しかし、バスは、住民の足としては僅か1%程度しか担っていない状況からすれば、空港線以外は、いつ廃止されても不思議ではないという現実がありました。

 そうなると、バスを使わない住民のために、行政が補助金をつぎ込んで路線を維持するよりも、観光地やビーチを巡る路線など、観光客の利便性を中心にバス路線網を再構築した方が、トータルで考えて、島経済のためにはいいような気がするのですが、いかがでしょうか。



 2回に渡って、「石垣市地域公共交通計画」の内容を紹介しましたが、運転免許がなければ住むにも遊びに行くにも不便な場所だという、頭の中では分かっていたはずの現実を、改めてデータで示されたという結果になってしまいました。

 もちろん、宮古島周辺や慶良間諸島でも事情は全く同じだと思います。


 その1


 計画書の全文はこちら


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2023年1月20日金曜日

石垣市地域公共交通計画の興味深いデータから Ⅰ

 

 先日記事にした、Z世代が車を運転しない問題に関して、色々資料なども調べているのですが、そうした中、この問題に直接は関係しないのですが、島の現状を知る手がかりとなりそうな資料をみつけました。

 興味深い内容が含まれていたので、そのごく一部ですがお知らせしたいと思います。

 それでもかなりのボリュームになるので、観光客編と、島人編の2回に分け、1回目は観光客編をお届けします。




 この資料は、「石垣市地域公共交通計画」という報告書で、石垣市が発注し、令和4年3月に公表されています。

 計画策定の目的は、まちづくりと一体とな った地域公共交通ネットワークを構築するため、とされています。

 今回注目したのは、この中にある各種データです。石垣島を中心とした八重山諸島の観光客の動向についてです。令和元年(2019年)度、つまりコロナ前の調査となっています。



世代別の旅行者の割合
 40代の24.7%をトップに、50代20.7%、60代19.5%、30代18.5%となっており、20代はやや少ない約10.0%となっています。


旅行者の訪問回数
 初回が39.7%、2回目が18.4%、3回目が8.9%などとなっています。一方、20回以上が8.0%もいたのは心強い。


宿泊数
 2泊が36.6%、3泊が27.8%で、平均は3.07泊です。日帰りが3.6%も! Youはどこから石垣へ?


泊まった島(重複回答)
 石垣島が87.9%と他を圧倒しました。
 竹富島は、3.2%で、訪島者の数からすると、日帰り率の高さが窺えます。黒島は、1.2%で、波照間島の3.3%に水を空けられています。リゾートホテルのある小浜島は7.0%、西表島は10.0%でした。


旅行形態
 個人旅行が53.6%、それとどう違うか説明はないのですが、フリープランが29.5%、団体旅行、パッケージ旅行が合わせて約15%でした。


立ち寄り先
 トップ10は、

 川平湾       58.4%
 コンドイ浜(竹富島)33.7%
 玉取崎       33.1%
 公設市場      25.1%
 平久保崎      23.7%
 由布島       21.7%
 石垣島鍾乳洞    20.9%
 バンナ公園     20.7%
 仲間川(西表島)  19.8%
 竹富島島内     17.4%

その他主なところでは、
 浦内川 (西表島)   10.1%
 ニシ浜(波照間島)  4.2%
 仲本海岸(黒島)   3.1%

 などとなっていました。
 米原海岸、底地浜、真栄里ビーチなど、石垣島の各ビーチはランクインしておらず、石垣島その他(12.1%)に括られているようです。


移動手段
 船が最も多く64.8%で、以下、レンタカー55.5%、路線バス25.9%、タクシー22.1%、自転車16.8%、観光バス14.4%などとなっています。

 もう少し突っ込んで、ホテルの送迎バス、船会社の送迎バス利用の状況も調べてほしいところです。


レンタカーの立ち寄り先
 ちょっと文章としてまとめ難いので、そのまま転載します。石垣島でレンタカーが10分以上停車した場所を、メッシュで示しています。
 赤が多く、濃い青は少ないという関係です。

 中心市街地や空港周辺が多いのは分かりますが、これを見ると、皆結構色々な場所に散らばっています。




この調査から何が読み取れるのか

 石垣島を含む沖縄離島は、自分のイメージとしては、遊ぶ島、滞在する島でしたが、こうしてみると実情は、見て廻る観光地の様相を呈しています。


 しかし、詳しい分析はされていないようですが、この調査がコロナ前の令和元年(2019年)度に行われたことを考えると、この数字には、クルーズ船でやって来た外国人観光客が数多く含まれているものと考えられます。

 立ち寄り先として、公設市場(25.1%:4位)、石垣島鍾乳洞(20.9%:7位)、バンナ公園(20.7%:8位)が上位を占めたのもその影響でしょう。


 また、以前当ブログで記事にした、沖縄振興開発金融公庫の「沖縄の離島観光に関する意識調査(2017年3月)」も併せて考えると、冬場に大々的に宣伝される「八重山4島(5島)巡り」のツアー客も、相当数含まれていると思います。

 立ち寄り先として、西表島の仲間川(19.8%)が、同じく西表島にあり沖縄最大の河川である浦内川(10.1%)の約倍になっているのは、「八重山4島(5島)巡り」ツアーの立ち寄り先だからでしょう。


 これらを除いて考えると、観光客の大雑把な動向は、

 ①石垣島内観光は主にレンタカーを利用する、②各世代ほぼ均等であるが若い人はやや少ない、③リピーターはあまり多くないが熱烈な石垣ファンも一定数居る、④ほとんどが石垣島に宿泊し他の島へは日帰りする人が多いが、西表島には一定数宿泊している、⑤滞在期間はあまり長くない、⑥やはり黒島に行く人は少なかった、

 ということになると思います。



Z世代が車を運転しない問題との関係

 年代別の旅行者数は、20代は、他の世代の約半分となっています。また、30代もやや少なくなっています。

 石垣島など沖縄の離島は、本島や他の観光地に比べると金がかかるので、若い人には敷居が高いも考えられなくもないとは思いますが、学生ならともかく、就職している層では可処分所得が却って高い可能性もあり、若い奴は金がないから、離島まで来ないというのは昭和の発想のような気がします。

 むしろ、コーラルブルーの海で泳いだり、マリンスポーツをすることは、若い人ほど憧れるのではないでしょうか。


 そうなると、やはり他の原因、つまり、車を運転したくない、できないという理由が、石垣島や、その他、沖縄離島旅行を拒む壁になっている可能性が高いことが、ここでも裏付けられたような気がします。





 なお、報告書は、全82ページにも及ぶ大部ですが、これは、受託したコンサルタントが見栄えのするように散々盛ったためで、多角的な視点から検討が加えられためで、結論においても、バス停から遠い人は、最寄りのバス亭までシェアサイクルや電動キックボードの活用を提案するなど、こんなこと誰がするのかと笑っちゃうようなものが多い柔軟な提言がなされています。


その2へ ⇨


 計画書の全文はこちら

 沖縄の離島観光に関する意識調査に関する記事はこちら


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2023年1月16日月曜日

走る 飛ぶ 消える 沖縄の白いカニ

 


 沖縄の白砂の砂浜に降り立つと、足元で、チョロロロォォォ~ と超高速で逃げていく謎の物体を見かけることがあると思います。

 蜘蛛の子を散らすという表現がありますが、まさにそんな感じ。でも、正体はクモではなくカニです。

 2~3㎝の小さな白いカニ、ミナミスナガニです。





 とにかく足が速い。調べてみたら、甲殻類最速らしい。

 最高時速は16㎞にも達するんだとか。換算すると、秒速4.4メートルでっせ。あの小さな体で。

 そんな時は、すべての脚が地面から離れる瞬間があるそうです。つまり、飛んでるってこと!?

 アメリカでは、ゴーストクラブという愛称で呼ばれるているそうな。一瞬で消えてしまうからだとか。

 



 変身の術。砂浜の色に合わせて、体の色も変える・・・


 わけではありません。

 これは、単に撮るときに露出を変えただけです。沖縄の強い日差しの下では、上の写真のようのカニも砂も白く見えるのですが、本当はもう少しベージュがかった色をしています。


 
 まるで、潜望鏡のように目だけを出しています。向こうからは、こちらはどのように見えているのでしょうか。




 白いカニは、白砂のビーチに紛れて姿を消します。これぞまさにゴーストクラブ?




 カニ穴を掘った後の砂団子。こんなに整然と並ぶと綺麗ですよね。ここにゴーストクラブは何百匹、いや、何千匹いるのでしょうか。





 小さいし逃げ足は速いし、写真に撮るのはなかなか大変です。

 望遠レンズは必須ですが、少しでも近づいて撮りたいので、逃げられないように、静かに静かにそぉ~っとしゃがんで、その体制から一歩、二歩とゆっくり近づきます。

 いい歳して、こんな無理な姿勢を続けていると、すぐに足腰がしびれたりして大変なのですが、何だかんだ結構夢中になってしまいます。





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