2020年9月7日月曜日

コロナが神風となるのか 竹富島のリゾート開発問題


 人々は必至で闘った。だが、相手は攻撃の手を緩めることはなかった。もはやこれまでか、と誰もが思った瞬間、予想だにしなかった災いが天から降りてきた。

 これは、果たして神風なのか。





 竹富島のコンドイ浜に隣接した土地で、リゾートホテル建設計画があります。

 島人は、この計画に反対していますが、3年前に開発許可が降り、昨年3月に建築確認も終わり、後は着工を待つだけという段階でした。

 竹富島を守る会では、4万人を優に超える反対署名を集めましたが、業者側は受け取りを拒否し、逆に守る会の代表(個人)に対し、名誉毀損であるとして、2200万円の損害賠償を求める訴訟を提起しました。

 そんな中で、天から降りてきたのがコロナです。




 開発業者は、法律上の規制を既にクリアしており、反対派に、着工を阻止する法律上の手立てはありません。
 むしろ、業者側は、財産権の行使として、着工する権利があるとも言えます。

 それであっても、当ブログとしてはリゾート開発に反対です。
 その理由については、去年相当詳しく、というかブログ史上最大級?の大論文記事を書いたので、そちらをご覧いただければと思うのですが、ここで簡単に説明しておきます。


 竹富島には、島の憲法ともいうべき竹富島憲章があります。

 竹富島憲章は、「保全優先の基本理念」として、売らない、汚さない、乱さない、壊さない、生かす、ことを宣言しています。

 竹富島の集落には、赤瓦の屋根の伝統建築の家や石積みの塀、砂を撒いただけの未舗装の道路など、古い沖縄の街並みが残されています。
 これらは、島人が竹富島憲章に則り、保全に取り組んだ成果です。

 つまり、竹富島の美しい自然も街並みも、偶然に残されたものではなく、島人が負担も不便も厭わず、不断の努力によって守って来たものなのです。

 もし、竹富島が、何処にでもあるコンクリートの住宅と塀、アスファルトの道路だったら、誰が水牛車に乗って観光したいと思うでしょうか。


 リゾートホテルに宿泊する観光客は、コンドイ浜で遊ぶだけではなく、竹富島の伝統的な集落に足を運ぶことも旅の目的とするでしょう。
 海で泳げない冬などは、むしろ、伝統集落を目当てに泊まりに来るかも知れません。

 不断の努力により伝統を守ってきた島人の意見には耳を貸さず、その果実だけは利用しようとするならば、それは、法律には違反しなくとも、社会規範に反する。これが、当ブログの意見です。

 
(この正面が建設予定地と思われる。)



 そうは言っても、法的に工事を止める手段はありません。着工は時間の問題と思われていました。それが、今年年初の状況でした。


 しかし、8月下旬現在、工事に着手した様子は見られませんでした。コロナで一時中断ということでしょうか。

 もし、業者側が着工を断念するとしたら、この件に関してだけは、コロナは神風なのかも知れません。

 心なしか、反対運動も気が緩んでいるように見えてしまうのですが・・・




 開発業者は、那覇市に本社のある不動産会社です。
 ホテル経営に乗り出すのは初めてであるが、竹富島の観光客は増えているものの、ほとんどが日帰りなので、受け皿となるホテルを造るのだと報じられていました。

 しかし、コロナのせいで当時と状況は一変しています。

 今年の竹富島の入域観光客数は、1月から7月までの合計で、141,289人。昨年同期間の302,829人と比べ半減です。
 さらに8月は、沖縄県独自の緊急事態宣言などもあって、影響の長期化は必至です。先行きは見通せません。

 また、余計なお世話ではありますが、本業の不動産業も、一般的にコロナ禍で厳しいとされる業種である上、グループ企業は、那覇を中心に、いわゆる接待を伴う夜の店を10店舗以上経営していますが、こちらはもっと大変なことになっていると想像されます。

 未着工であるならば、この時代に敢えてリスクを取らないという経営判断があるかも知れません。


 4月頃、まだ全国的にマスクが不足しているときに、この業者が竹富町に大量のマスクを寄付した旨、町のHPに載っていました。
 和解のサイン、というのは期待し過ぎでしょうか。




 
 もし仮に、一旦工事が中止されても、いずれ再開されるかも知れません。また、土地が他の開発業者に譲渡されてしまえば、問題は先送りされるだけです。

 そこで、重要なのはトラスト運動です。

 トラスト運動(ナショナルトラスト運動)は、自然環境を、経済的な理由による無理な開発から守るため、市民活動等によって土地を買い取ったり、自治体に買い上げと保全を求めたりする活動のことです。


 竹富島では、昨年9月から、任意の入島料の徴収を始めていますが、これは、「地域自然資産区域における自然環境の保全及び持続可能な利用の推進に関する法律」という法律に基づいて行われています。 

 この法律には、「国及び都道府県は、地域自然資産区域内の土地が、国立公園の区域内に含まれるものである等の理由により、自然環境の保全及び持続可能な利用の推進を図る上で特に重要であると認めるときは、当該土地を取得するよう努めるものとする。」という条文があります。

 つまり、この法律に基づいて、トラスト運動を行う場合、土地取得に国や県の支援が得られる可能性があるのです。






 入島料といっても、支払いは任意であり、チェックもされません。寄付のような立ち位置のものです。
 
 石垣島の離島ターミナルか、竹富港ターミナルに設置されている券売機で購入・支払いをするシステムです。金額は300円です。

 何だかよく分からないという人は、支払う必要もないと思いますが、事情を理解の上、この活動に参加したいと思う人は、一緒に盛り立てていきましょう。



 この問題に関する以前の大論文?記事はこちら。入島料に関する記事はこちら

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