2024年7月26日金曜日

リゾートの宮古島 足元ではインフラに綻びか

 

 宮古島で突然停電したり断水したり。

 乱開発に怒った漲水さまの祟りだ!というオカルト話はともかく、高級リゾート路線をひた走る宮古島に、最近ちょっと気になる綻びが出ています。




 漲水(はりみず)さまとは、宮古創世の神を祭る、宮古島でもっとも格式の高い御獄(うたき)である、漲水御獄のことです。


 漲水さまのお怒りかどうかは別として、7月18日の深夜から翌未明にかけて、島の南西側の下地地区で断水が起きました。これは、配水管布設工事に伴うものですが、市からのお知らせは前日の17日であり、緊急工事だったことが窺われます。

 この地域の一部では、7月9日にも漏水のため緊急断水しており、水道施設の老朽化が懸念されます。


 4月には、突然全島停電という騒ぎもありました。たまたま偶然なのかも知れませんが、停電にしろ断水にしろ、石垣島でこれほどのことが起こっているかと言えばノーなので、やはり、宮古島大丈夫かと思ってしまいます。




 当ブログでもお伝えしましたが、今年4月に、りゅうぎん総合研究所が、「ホテル建設に伴う水需要の増加が市の想定を超え、将来水不足に陥る懸念がある。」という内容の調査リポートを発表しました。

 そんな分かりきったことを何を今さら、というのが正直な感想なのですが、琉球朝日放送の配信記事では、「宮古では今後リゾート開発は不可能と分析」という見出しを付け報じています。

 穿った見方をすれば、経済界の中に「宮古島水道がやばいぞ」「もういい加減にしておけ」という考えを持つ人がいて、何らかの働きかけをしたとも考えられます。



 かなり以前の話ですが、伊良部島で長時間断水したことがあり、ホテル事業者が市を訴えました。

 市は、条例に免責条項があり賠償責任は負わないと主張し、一審、二審はこれを認めましたが、最高裁は市の言い分を認めず、原審に差し戻しました。

 ここまでは、当ブログでお伝えしましたが、その後差戻審で、断水の原因は施設の破損であり市に過失があると認定され、この判決は確定しました。


 重要なことは、差戻審判決が、「約40年使用された事実関係からすると、市には破損の予見可能性や結果回避可能性があった予見義務のほか、綿密な点検、配水池への流入量の正確な把握など、破損および断水を回避する義務があった」と断じた点でしょう。

 つまり、施設が老朽化しているのに、それを漫然と使い続けた点に、市の過失があるとしたのです。


 また、市は当初、ホテルで想定外の水需要があったため断水したと説明し、それにホテル側が反発して訴訟にになったと伝えられています。




 リゾートホテルには、大抵プールがありますが、特に、超高級ホテルともなると、プライベートプール付きという部屋があります。来間島のホテルだけでも100を超えるプライベートプール(ジャグジー)があります。

 そうしたプライベートプールは、HPによれば、大きいものでは15m×5m、小さいものでも長辺7mくらいはありそうです。

 15m×5mで深さ1mとすれば、必要な水は75,000リットル。1日1人が使う水道水の量は平均221リットル(東京都水道局)だそうなので、このプール一つで340人分の生活用水が賄える計算になります。
 
 今年11月開業予定の「ウルトラ ラグジュアリー リゾート」のローズウッドホテル宮古島にも、大きさは分かりませんが、55棟すべてにプライベートプールが備えられます。


 水需要は急増していますが、水道施設は少しずつ老朽化しています。

 宮古島では、水道水源を地下水に頼っています。山がなく川もない島では、ダムを造って湛水することができません。

 大雨が降っても、渇水時に備えて貯めておくことはできません。


 豊富な地下水脈があるため、新たな開発に対しては井戸を掘らせて対応して来ましたが、給水計画が机上の計算どおりいくのか、断水の例やりゅうぎんリポートをみれば、決して楽観はできないと思います。

 その上もし、少雨になればどうなるかは、想像に難くありません。リゾートの島宮古島では、今後水問題が最大のアキレス腱になるかも知れません。



(沖縄電力HP)


 今年の4月25日の未明、宮古島は突然全島が停電し、約8時間続きました。

 原因は、設備の故障だったそうですが、台風時でも全島が停電することはあまりなく、しかも、何の前触れもなかったので、かなり混乱したようです。


 電力供給は、沖縄電力の管轄であり、市とは関係ありませんが、水道インフラがピンチなのに、「沖電よおまえもか!」と言いたくなる事態が起こっています。

 

 大きな問題とはなっていませんが、道路インフラも決して十分とは言えません。

 近年、伊良部大橋の開通に伴い、取り付け道路が整備されたり、伊良部島南岸道路が一部改良されたりしていますが、道路整備のペースは、土地の開発に比べて鈍いと言わざるを得ません。


 来間島に、168室という大型ホテルが出来てからもう数年経ちますが、来間島内の道路は昔のままです。

 サトウキビ畑を貫く島の道路の大半は、センターラインも引かれていない狭い道で、交差点には、信号はおろか一時停止の標識すらないのです。

 交通量が少ないため、今まで特に問題になりませんでしたが、レンタカーで初めて来間島を訪れる人が増えれば、何時事故が起こっても不思議ではない状況です。 




 伊良部大橋の開通と下地島空港の民営化を契機に始まった宮古バブル。

 報道によれば当時は、市長も副市長も景気のいい話を語っていました。

 そんなうまい話ばかりではないだろう、と思っていた人も少なくなかったと思いますが、コロナが明けて、大型ホテルが粗方できた今、市の思惑どおりにことは進んでいるのでしょうか。



 りゅうぎんリポートの話はこちら

 伊良部島断水訴訟の話はこちら


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