2024年7月30日火曜日

竹富島のできれば聞きたくない話



 竹富港のターミナルに置かれたゴミ箱です。

 「ゴミ箱を利用される方は入島料(300円)のご協力をお願いします。」と書かれています。

 竹富島のゴミは、船で石垣島まで運ばれて処理されます。観光客はゴミを持ち帰ってくれというのは当然です。

 でも、これをみると、金を払ったらゴミを捨ててもいいよ、とも読めますよね。



 こちらは、トイレに貼ってあったものです。



 「島民も同じ不便のなかでの暮らしです。」「不便も離島の特徴。都会にない不便をお楽しみくださいね。」

 そうなんですよ。

 この言い方は好きです。遠路はるばる竹富島までやって来たのだから、金を払って日常と同じ便利さを味わうのではなく、島ルールで過ごすのが旅の醍醐味では。

 「都会にない不便をお楽しみください」って、なかなかイケてるフレーズじゃないですか。


 竹富島では2019年から、300円の入島料を任意で徴収しています。支払う人は、観光客の約10%だそうです。

 任意のお願いに対して10%も協力者いるということは素晴らしいことだと思いますが、島の一部の人は、そうではなくて10%しか支払ってくれないと考えているようです。

 竹富島の昨年の入域観光客数は、398.611人。うち10%の人が入島料を支払うと、約1200万円の収入という計算になるのですが。




 竹富島の道路は、ホーシミチと呼ばれる港に続く道と、環状線(外周道路)のみが舗装道路で、集落内の道は、伝統的な白砂が散布された道です。

 一説によると、夜間にハブが徘徊していても直ぐに分かるようにするためだとか。 



 ふと気が付くと、白砂の道の一部が舗装されていました。アスファルト舗装ではなく、砂と同じ白のコンクリート舗装のようです。
 ちょっと見では気が付かないように造られています。

 竹富島憲章には、「道路、各家庭には、年二回海砂を散布する。」という条項があったのですが、いつの間にか削除されました。

 何か事情があるのでしょうか。



 二つ上の写真と同じ道です。これは2015年に撮ったものです。




 ピースアイランド竹富島温泉(仮称)の工事が急ピッチで行われています。

 竹富島に温泉が湧くのかとビックリしますが、地下1000mまで掘ると出てくるのだそうです。

 かつてあった西表島温泉が枯渇した現在、完成すれば日本最南端の温泉となります。27室の宿泊施設と日帰り温泉施設からなり、来年1月オープンの予定です。



 島民は、建設に反対しました。

 島の神聖な場所である「真知御嶽(マーチオン)」が直ぐそばにあるというのが理由ですが、それは、法的に保護される利益ではなく、企業者は無視しました。


 手前左側に真知御嶽の鳥居、木漏れ日の向こうが工事現場という位置関係です。



 竹富島には水牛車観光の業者が2社あります。

 そのうちの1社には、かなり以前から島民の反対運動が起こっていました。水牛がいて観光客も集まるステーションが、御獄、小中学校、診療所に近いというのがその理由です。


 2014年には、遂に島民の不満が爆発し、水牛車のルート沿いの、利用客からよく見える場所にこんな看板が設置されました。



 当時の竹富町長が間に入って、島民と業者の間で、業者が移転を検討する旨の和解が成立しましたが、10年経った今でも同じ場所で変わらず営業が続けられています。


 島外の業者によるコンドイ浜のリゾートホテル計画は、島民が一丸となって跳ね返しました。
 しかし、内なる敵には苦慮しているようです。



 入島料の件にしろ、舗装の件にしろ、温泉施設にしろ、水牛車の件にしろ、一つ一つは大した話ではないのですが、竹富島に行くと、できれば聞きたくない話、目にしたくないものが、色々飛び込んで来ます。


 島の在り方を自分達で決めるという竹富島の姿勢を、自分はリスペクトしていました。他の島の範ともなり得るものだとずっと思って来ました。

 もちろん、時代と共に島も変わって行きます。ただ、もしそれが、ほかの島のように目先の利潤追求のためであるならば、残念なことです。

 日中は観光客でごった返すけれど、日帰り客が帰り始める夕刻からは、ゆったりした島時間が流れ始める。そんな竹富島のイメージは、この先も変わらず残り続けてくれるでしょうか。

 

 初めて竹富島に来たであろう人達が、集落の入り口に着いたとたん「これだよ~ この景色が見たかったんだ!」と歓声を揚げるのを聞いて、よそ者の自分まで何だか嬉しい気分になったのですが。




 竹富島とは直接関係ありませんが、竹富町の訪問税についての続々報です。


 竹富島、西表島など竹富町の各島に行く人に、1人1回毎に千円を課税するという内容の竹富町訪問税条例案ですが、6月町議会への提出が見送られました。

 当初予定では3月議会に諮るとされていたので、これで2回目の延期となります。

 パブリックコメントや、地元紙等の報道をみると、石垣島や那覇に住んでいる竹富町出身者・関係者が、「俺達も非課税扱いにしろ」と言い出したことに、町が苦慮しているようです。
 一方、主要な納税者である観光客の意見には、聞く気は持たないといった対応です。


 自分は、この件で反対の立場からパブリックコメントを提出し、それに対する町の回答もHPで公表されています。

 この町の回答は、HP登載に当たって上司の決裁を受けたのですか?と突っこみたくなるレベルで、言いたいことが山ほどあるのですが、ここに書き始めると大変長くなってしまうので、謙虚に(笑)別ページにまとめました。


 こちらのページをご覧いただくと、もの凄く重要で役に立つ話がお読みいただけます、というのは誇大広告で、ほとんど法律の話ですから、是非読んでくださいとはちょっと言いにくいのですが、閲覧数が100を超えたら自分で祝杯を挙げたいと思います。



 8月3日になると、当ブログは12周年を向かえます。次回の記事は、難しいテーマではなく、明るい(軽い)内容にしようかと思っています。

 

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