2022年12月16日金曜日

宮古島市で水上バイク規制条例が成立

 

 宮古島市がようやく重い腰を上げ、水上バイクの規制に乗り出します。

 「上オートバイ等の安全な利用に関する条例」が、今月9日、宮古島市議会の総務財務委員会で可決され、今月末の市議会の最終日に可決成立する見通しとなりました。

 当ブログでは、これまでジェットスキーと呼ぶことが多かったのですが、ジェットスキーはカワサキ社の製品名なので、今後は水上バイクと表記することにします。




 条例の内容は、事故防止重点区域を指定し、緊急の場合等を除き、罰則付きで水上バイク等の乗り入れを禁止するというもので、来年4月1日からの施行を予定しています。

 そして、どこを事故防止重点区域にするのかというと、前浜と渡口の浜。
 前浜は東急ホテル前から前浜港の間、渡口の浜は全域で、砂浜から70~100メートル沖合までのエリアのようです。

 市では、9月頃から、前浜の沖合100メートルにブイを設置し、ブイの内側を遊泳区域として、水上バイクを乗り入れさせないようにする実証試験をしていました。その結果を踏まえての条例制定になったようです。


 普通に考えて、人が泳いでいるそばを、水上バイクがかっ飛んでいるのは危険だと思うのですが、調べてみたら、宮古島市では、平成22年頃から議会で問題視されていたものの、今まで強い対策を打ち出して来ませんでした。





 少し古いデータですが、国の運輸安全委員会が、平成21年から26年までの 6 年間に調査した全国の水上バイクの事故等は281件で、死傷者が発生した事故は243件、率にして86.5%で、これは、一般の船舶事故等の約3.5倍だそうです。

 加えて、一般の船舶事故と比べ、操縦者よりも、同乗者、遊泳者等の被害が多くなっているという特徴もあるそうです。


 宮古島では今年8月、バナナボートに乗っていた20代の男女3人が一時行方不明になるという事故が発生しました。

 ジェットスキーが牽引するバナナボートに8人が乗って航行中、途中で3人が振り落とされたとのこと。
 幸い3人とも無事発見、救出されましたが、海上保安庁の巡視船が出動する騒ぎになりました。


 バナナボートにはシートベルトはありませんから、振り落とされるということはあり得ます。だからこそのスリルも味わえるわけです。

 しかし、振り落としたのに操縦者が気付かず、そのまま行ってしまうというのは信じられません。
 8人中3人もいなくなれば、軽くなって抵抗力が減るので分かりそうなものだし、そもそも、そういうことがないよう十分注意を払うべきです。


 また、以前にも書きましたが、新婚カップルが前浜で声を掛けられ、波が高い中でジェットスキーを強行し、女性の方が具合悪くなり、病院に駆け込むということもありました。
 これは、警察に届け出ていないので事故にはカウントされていません。




 宮古島に限らず、沖縄では水上バイクやSUP(Stand up Paddleboard)を扱う業者が増えました。

 沖縄のマリンスポーツといえば、真っ先に思い浮かぶのは、ダイビングやシュノーケリングなのですが、増える観光客に対し、ダイビングスポット、シュノーケリングポイントは、減ることはあっても増えることはありません。

 そこで、海さえあれば楽しめる水上バイクやSUP、とりわけ、手軽な水上バイクが急増しているのです。


 なぜ、モーターのついた水上バイクの方が手軽なのか。
 それは、SUP(カヤックなどもそうですが)は、ガイドが自らボードを漕ぎ、初心者には扱いを教えつつ、ガイドもしなければならないので、相応の力量、体力、経験が必要です。

 その点、モーターの付いた水上バイクは、特殊小型船舶操縦免許があれば、すぐに始められます。

 つまり、業者側にとっては、手軽だということです。だから、バナナボート振り落とし事故のようなことが発生するのでしょう。




 条例では、規制対象を、水上オートバイ等とし、水上オートバイのほか、モーターボート、ヨット、セールボード、サーフボード、カイトボードなどが含まれるようです。

 サーフボードまで含めるのは、ちょっと驚きました。確かに、サーフボードも無防備の遊泳者からすれば、ぶつかれば怪我の可能性がありますが、水上バイクに比べれば、その可能性は小さなものです。

 また、この例示に、カヤックやSUPも含まれるのか、今のところ情報がありません。



 いずれにしても、自分は、この条例に期待しています。

 それは、単に、安全に海で遊べるようになるというだけではなく、商売っ気たっぷりで感じの悪かった前浜が、東洋一のビーチといわれる美しさに見合った品格を取り戻すきっかけになるかも知れないからです。


 実際にどうなるのか、来年以降注目して行きたいと思いますし、その様子をまた当ブログでご報告します。






 最後にうんちくをちょこっと。

 水上バイクを世界で最初に開発・製造販売したのは日本で、1970年~頃、川崎重工の子会社であるカワサキが、ジェットスキーを発売しました。

 また、ヤマハ製の水上バイクは、はマリンジェット呼ばれています。



 新着記事は、Twitter と Facebookでお知らせしています。

 スマホの方は、「ウェブ バージョンを表示」をタップすると各種機能が使えます。


0 件のコメント:

コメントを投稿